つかず、離れず。

仕事初め

新年から続く辛い出来事に心を痛め、ろくに眠ることもできず本調子でない状態で迎えた仕事初め。
こういう時になぜか、ふらふらと自席にやってくる人がいます。
ある時は明確な要件を携えて。ある時は誰かへの報告を終えたついでに。
私が気にしているのを知ってか知らずか、その方は今日も私の席へとやってきました。

一度目はいつも通り、書類を渡しにやってきました。
その時にお願い事と、ちょっとした相談(かなり時間を食ってしまいましたが…)をしました。
他に聞かれると気まずい相談なので、小声でひそひそと。椅子に座ったままの私に対して、高身長のその方は身を屈めつつ、それでも嫌な顔一つせず話を聞いて答えてくれました。
上に通さなくてはいけない話も発生したのですが「言いづらいなら俺が話してあげるよ？」と提案され「いや、さすがにそれは悪いです。うちの部署の問題なので、その件については私が上長に言います」と返しました。
アルバイトである私に対して、その社員の人は厄介事の肩代わりを提案してくれます。
申し訳なさ半分、意固地半分で毎回それを断ってしまいますが、一言そう言われるのが内心とても嬉しいのです。

そして二度目。
奥の席に報告へ言って、ドアを出る直前にこちらの席へとUターン。
「どうだった？」と訊ねるように身を屈めてきたその人に「さっきの件、やっぱり……でした」と相談事の顛末を説明。
「ね、俺のいったとおりでしょ？」「上長とちゃんと話せたんだね。よかったじゃん」と笑う、社員の人。
そして去り際に「俺はずっとHiOさんの味方だからね」と、一言。
その言葉に激しく動揺しながら、それを悟られたくない私は「何でそんな含みのある言い方するんですか！怖いですよ！」と茶化すことしかできませんでした。

同じ職場で働くこと10年。
その方が私のことをどう思っているのか未だにわからず、何気ない相手の言動に一喜一憂する日々です。